もこもも

男はつらいよ 寅次郎恋歌のもこもものレビュー・感想・評価

男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971年製作の映画)
4.2
博の母の危篤と喫茶店を始めた後家の貴子さんへの恋心を描いた男はつらいよシリーズ第八作

お気に入りの話
"庭先に咲いたりんどうの花"の
エピソードが胸に響くし、
振られてないのに自分から
身を引いて旅に出る寅さんに、
ラストのさくらとの会話に、
胸がジーンと熱くなった
1人で旅をする者は家族に、
家庭を持つものは自由な旅に、
人間は無いものに憧れちゃうもの
生き方や幸せを考えさせられる

最初に寅さんが帰ってきた時は
ひねくれた寅さんによって
ピリピリとした空気になるし、
葬式のシーンもデリカシーないしで
今回の寅さんは最悪やって思ってたのに
博のお父さんを気にかけたり、
おいちゃんやさくらに謝ったりして
やっぱり寅さんのことが好きって
いつの間にか思ってるのだから不思議

博のお父さんの家を離れて
おいちゃん達も貴子さんに会うことを
回避しようと頑張るのは寅さんを想っての
優しさなんやろうな、って感じて心温まる
貴子さんが後家って分かった時の
寅さんがハイテンションで喜ぶ姿と
周りの頭を抱える姿に笑っちゃった
博のお父さんが柴又に来るシーンも好き

「俺ぁ長いことねぇぞもう、社長」

本作を最後に亡くなられた
おいちゃん役の森川信さん
男はつらいよシリーズを好きになる
大きなきっかけになった人やから
これが最後と思うとほんまに寂しい
ただこの作品があったことで
自分が生まれる遠の前に亡くなられた
森川信さんと出会えたのだから
それはとっても幸せなことやな

"りんどうの花"
一軒家の農家の庭にりんどうの花が咲いていて
あかあかと明かりのついた茶の間から
食事をする家族のにぎやかな声が聞こえる
これこそが本当の人間の生活って確かに
自分も思わされたからとっても胸に残る

「そんな羨ましがられることでも
 ないですからねぇ」

貴子さんの幸せを考えて
自ら身を引く寅さんがかっこいい
お金のことは助けてやれない寅さんが
片腕や片足ぐらいって言うセリフは
これ以上なく男らしさを感じさせられた
おいちゃんとタコ社長に向かって笑顔で
「振られちった」って言うシーンが切ない

俺の生活を羨ましいと思ったことがあるか?
と寅さんがさくらに問いかけた時に、
立場を入れ替えてお兄ちゃんを
心配させてやりたいって言うさくらの言葉が
普段からお兄ちゃんのことをどれだけ
心配に想っているのかを感じて胸に沁みた
もこもも

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