脚本が神波史男で、主演の鶴浩が虐げられる湾岸労働者の怒り/暴動を鎮圧する冷静沈着なやくざを演じた実録タッチの任侠映画。
戦後社会の闇に一人佇む一匹狼としての鶴浩が、フランス映画『戦争は終わった』のイヴ・モンタンを想起させてしまう。深作欣二らしい社会派リアリズムが感じられる批評性の鋭い作品。孤独な娼婦との愛惜シーン(鶴浩には珍しくベッドシーンあり)が何ともやるせない。
暴力描写もより過激にして前作『解散式』よりもさらにパワーアップ。日本🇯🇵のダークサイドとアンダーグラウンド史に言及するアプローチは、あの大島渚以上に政治的である。
労働組合、或いはワーキング・クラスの男達の怨嗟が噴出するドキュメンタル・タッチの迫真の画面がのちの『代理戦争』を思わせ臨場感タップリに描いた東映実録やくざ映画の佳作。
まだ若干やくざを弱い者の味方として美化して描いてる辺りが惜しいのだが…。プレ『仁義なき戦い』として観るには最適な作品で、観る価値は大いにある。