マッシモ

硫黄島のマッシモのレビュー・感想・評価

硫黄島(1959年製作の映画)
3.5
終戦記念日という事で硫黄島に纏わる映画を一本。

硫黄島からの帰還兵片桐の苦悩を新聞記者武村の視点から描いた物語。

【キャスト】
(新聞記者)
武村均:小高雄二

(硫黄島)
片桐正俊:大坂志郎
木谷:佐野浅夫
岡田一水:山内明

(その他)
森看護婦:芦川いづみ

【ストーリー】
新聞記者の武村は、行きつけの飲み屋で泥酔した男に絡まれる。男の名は片桐、硫黄島からの帰還兵でどうやら何かを打ち明けたい様子であったが度を超えて酔っており話があるなら尋ねてこいと武村は店を後にする。

後日、酔いも覚めたのか殊勝な面持ちでやって来た片桐は硫黄島時代に自分の居た部隊が全滅し、水を探していた自分と木谷という男2人しか生き残らなかった話を始める。 一通り話終わった片桐だが最後に、自分はもう一度硫黄島に渡り自らが記した日記を持ち帰りたいのだど武村に告げる。
そんなもの持ち帰ってどうするつもりかと武村が聞くと、もう一度手にしたいと意味深な事を言うのであった。

しばらく経ち、武村は硫黄島で片桐が死んだ事をニュースで知る事になる。武村に宛てた遺書地味た文面も届き、彼は亡き片桐の足跡を辿る事になるのだが…。

【総評】
戦争映画というより戦後、硫黄島の帰還兵の苦悩を描いた映画。原作小説もあり、本編の軸となる片桐はフィクションではなく実在の事件から着想を得た人物である。

冒頭、ただの酔っ払いにしか見えない片桐だが、酔いが覚め硫黄島の出来事を語る姿は気弱で真面目な印象を抱く、さらに武村が彼の知人達を尋ね歩けば子供を助けたり、戦友の妹を見舞ったりと中々に男気のある男である。反面、常に影を残していた彼の言動も浮き彫りになり、PTSDなりサバイバーズギルドのような精神状態だったと伺える。

陰惨なシーンはほぼ無いものの片桐の計り知れぬ闇を感じられる映画と言った印象。

【あとがき】
戦場を描き派手にアクションするのも悪くはないですが、戦後の兵士の闇を扱い戦争の悲惨さを伝える作品も必要だなと思いました。
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