佐藤克巳

戦争と人間 第一部 運命の序曲の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

5.0
明るい左翼乍ら骨太の大作を撮らせたら黒澤明以上の山本薩夫監督の最高傑作。済南事件の嘘、万歳事件の死者数の誇大な捏造、30年戦争史観等欠点は随所に見られるが、新興財閥の総師滝沢修、弟芦田伸介、長女浅丘ルリ子を中心とした壮大な人間ドラマは、日本映画のレベルを超えハリウッド映画の様だ。日活が経営危機の最中、映画人の心意気で総力を上げオールスターの超大作を製作した事事態驚異的だ。戦争シーンも迫力満点で、汽車の爆破の特殊撮影も見事でスリルに満ちていた。個人的に思ったのだが、民藝の俳優は現実主義的な役柄、俳優座系は理想主義的で情緒過多な役にご執心の様だ。また、石原裕次郎は外交官を美化し過ぎて不快だった。
佐藤克巳

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