Azuという名のブシェミ夫人

イキングットのAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

イキングット(2000年製作の映画)
3.6
流氷が流れ着くアイスランド北部の小さな村にイヌイットの男の子“イキングット”が現れる。
見た目も話す言葉も異なる存在を恐れた村の大人達はきっと悪魔に違いないと追い出そうとするが、牧師の息子ボアスだけは違っていた。

お子様向け的なゆるさではあるけれども、ほのぼのほっこり。
アイスランドの暮らしが物凄ーく寒そうなのに、心はぽかぽかだ♡
シロクマみたいなモフモフ真っ白な毛皮を着たイキングット、赤い房飾りつきの青いニット帽を被ったボアス、飼っているワンちゃんギッグルも可愛いし、作品全体がキュートで愛おしい。

小さな村だし、自然環境的なものもあり非常に閉鎖的な考え方を持った村人達にとって、自分達と異なる“異端者”は畏怖の対象となる。
例えそれが小さな子供であると見て分かっても、心がなかなかそれを受け入れない。
そんな村人たちはちょっと滑稽な感じに描かれてもいるのだけれど、こういう“魔女狩り”のようなことって昔からあちこちで繰り返えされてきたことなんだろうと思うと薄ら寒くなるわ。
のほほんとした雰囲気で包み込みこんではいるものの、人種差別や自由な思想への圧制について訴えかける良作。
子供ながらの柔軟な考えを持つボアスにホッとさせられるね。
子供達に見せてあげたいなー。
それでイキングット!って鼻をギューっとつまみ合ってほしい!

言葉は通じない。
でも君が笑った。
僕が笑い返した。
僕らはもう友達だ。