泡沫

省港旗兵・九龍の獅子/クーロンズ・ソルジャーの泡沫のレビュー・感想・評価

4.0
半ば諦めてたけど見られた。「男たちの挽歌」あたりが引き合いに出されがちのようだけど個人的にはイー・トンシンの「新宿インシデント」とか「ワンナイト・イン・モンコック」を思い出す。犯罪とはいえ家族のため・生活のために一攫千金を狙って香港に潜り込む「大圏仔」は子どものようにふざけ合ったりもしている。香港の人々にしてみれば迷惑極まりない犯罪者でもあったろうに、人間くさくどこかものがなしい人々としてほのかな共感とともに描かれる。中華圏の人々の間にあるきわめて複雑な感情や同一性は、私達には理解し得ないものかもしれない。気の抜けるほどあっけないラストは彼らの最期としてあまりに相応しく妙に感傷的になってしまう。
ところで「龍虎武師」で言及されてた、元武がスケートリンクに落下するスタントはこの映画だった。ただでさえ非常にショッキングなシーンだがツイ・ハーク曰く本当に落ちてるとのことだったので言葉を失う。繁華街での強盗や車に火をつけて脅すシーンなど、すさまじい映像でまさかとおもったがほんとにやってるんだそうで…。(なぜかそこばかり言及される)九龍寨城でのシーンも息がつまるような緊迫感である一方生活感にもあふれており、この落差にまたうちひしがれるのであった…。
泡沫

泡沫