ねぎおSTOPWAR

敵との初恋のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

敵との初恋(2011年製作の映画)
3.9
序盤に楽しい雰囲気で溢れていると・・そう、後半は・・・
なんたって背景は朝鮮戦争です。
とある田舎の村に人民軍がやってくる。
ラジオの放送にも能天気に動かずにいたら、あっという間に捕虜というか、人民軍からすると『解放する』わけですが、諸々協力を要請されるわけです。
そこにはかつて少年期に出会っていた二人がいるわけです。
男性は北のリーダーになっていて、南は翌日結婚を控えた娘。
そして運命は崖を転がり落ちるように動き出し・・


これはね、本が上手いと思います。
村の中の因縁というか関係性があり・・
一つ外には隣村との競争があり・・
日本占領時代等での権力側に付くかどうかの対比があり・・
もひとつ外には同じ国なのに北と南に分断されるもどかしさ・・
かつて親族を殺された人々の”今”の対比がいくつもあり・・
さらにそもそも関係ないアメリカ軍により命を失う・・
もうね、混乱します。

一般的に北から来たイデオロギーは悪まで行かずともおよそ理解からは遠い存在。
身を守るために権力にすり寄るのは潔くない行為。

・・わたしも感覚的にそういう立場にいました。
それがね、なんだかどこに立っているのか、家族を守るためにアイデンティティを捨てることのなんとタフでカッコいいことかと思いはじめるんです。

北に対してアメリカという存在は近しい方にいると思いますが、こいつらのせいで世界中で喧嘩が起き、勝手にやってきて国土を荒らすわけで。

そこのね、考え始めてからのね、いよいよのシークエンスが長いんです。もう胸が痛くて心が締め付けられたまま銃弾が飛び交い続けるんです。「もうやめてくれ・・撃つのをやめるんだ!」って。まるで悪夢から目覚めたいのに眠ったままにされるような。
1950年設定


キム・ジュヒョク(1972-2017)出演映画<第10作>




〈733〉