クシーくん

月のキャット・ウーマンのクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

月のキャット・ウーマン(1953年製作の映画)
1.4

このレビューはネタバレを含みます

編集技術者としては優れていたが、監督としてはお世辞も言えないレベルの作品を送り出してしまったアーサー・ヒルトン監督作品。音楽はエルマー・バーンスタイン。後に大成する彼も、1953年はこれと、あの最低SFとして本作と双璧を成す「ロボットモンスター」の音楽を担当と、かなりの厄年である。

脚本が色々破綻気味。60分ちょっとしかない映画なのに、映画の中でやる事(やりたい事?)が余りないせいなのか、ロケット内で不必要な火災が起こったり、作り物感丸出しの巨大蜘蛛が天井から降ってきて無理矢理尺を繋いでいる。
ロケットの原子炉が火災となると多大な放射能汚染を引き起こしそうだが、対策は防護服を持ってミニ消火器のような物で消火するだけという実にいい加減なもの。しかも、最初は「故障」だった筈だが…消火器だけでは解決しないだろうに。
作り物の蜘蛛もかなり酷い。以前、「惨殺の古城」というB級イタリア映画にもかなり程度の低い蜘蛛の怪物が出てきたが、あれより酷い。ただ蜘蛛の人形を糸でぶら下げてるだけだ。ドリフのコントに出てくる大道具の方がもうちょっと上出来という感じで、明らかに白ける部類なのに、ヒロインが大げさにギャーギャー騒ぐのでフラストレーションが溜まる。

なぜキャットウーマンなのかも意味不明だが、最早そこには触れまい。
安っぽいタイツを着た月のアマゾネスは二百万年もの歴史と高度な科学力を培ってきたらしいが、その割には見下してる地球人をお色気と金で騙してロケットと宇宙服を奪ってしまおうというショボい計画。瞬間移動や遠隔マインドコントロールという超能力を有しているのに画面外で銃殺、セリフのみで片付けられるという雑な最期には涙を禁じえない。

結局何をしに月に行ったのかが良く分からない。全身タイツ女達と格闘してる以外、彼らはただ痴話喧嘩するかちちくり合っていただけである。

ヒロインを演じるマリー・ウィンザーは本作以外にも数多くの低予算映画に出演し、B級映画の女王と呼ばれているそうだが、マイク近すぎたのか?ってくらい声がキンキンでうるさいわ、時々酷いダミ声になるわで非常にイライラさせられる。
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