爆裂BOX

サンゲリア2の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

サンゲリア2(1988年製作の映画)
3.8
東南アジアの研究所をテロリストが襲撃し、軍が開発した細菌兵器「デスワン」に一人が感染。死亡したテロリストの死体を軍が焼却処分した事から煙と共に拡散したデスワンは鳥を媒介に人間に感染しゾンビ化させていく…というストーリー。
一応「サンゲリア」の続編で、ルチオ・フルチ監督作になっていますが撮影中に体調を崩したフルチに代わりヴィンセント・ドーンことブルーノ・マッティが代打監督を務めて前作とは全然雰囲気の違う怪作になっています。焼却された感染者の死体の煙から細菌が拡散し、ゾンビアウトブレイクが拡がっていく展開は「バタリアン」、軍の防護服部隊は「ザ・クレイジーズ」からの影響が窺えますね。チョイ役だけど鳥ゾンビが登場する所は個人的にゲームの「バイオハザード」に影響与えてるんじゃないかなと思ったり。
休暇中の兵士ケニー達と偶然知り合った若者達がこの騒動に巻き込まれ決死のサバイバルが繰り広げられますが、ひたすらゾンビや感染区域にいる者の抹殺を決めた軍に投入された特殊部隊と戦いながら安全地帯を目指すストーリーで、主人公達が軍人で戦闘能力高めなので格闘戦や銃撃戦も多くてアクション面楽しめました。何故かホテルにマシンガンや火炎放射器などの銃火器があったり、トラックの下に手榴弾落ちてたり、銃で武装した兵士たちが格闘戦挑んできて射殺されたりするミラクル展開連発するのも楽しい。
ゾンビはノロノロゾンビですが、草むらから飛び掛かって来たり天井から飛び降りて来たりとやたら威勢よく暴れます。首絞めて来たり食うよりも肉弾戦仕掛けてくることの方が多い。フルチゾンビと言えば暗澹たる表情で俯きながらゆっくり歩いてくる印象なのでフルチらしくはないですね。喋るゾンビもいたり、語り草になってる高速でナタ振り回してヒロイン追い掛け回す通称「寛平ゾンビ」や何故か冷蔵庫にいて宙を飛んで襲ってくる生首ゾンビや「ゾンビ2009」でも出た妊婦の腹突き破る胎児ゾンビ等ゾンビのバリエーション多いですね。同じゾンビが何回か登場する所ありますし、皆中華服みたいなの着てるのも特徴的。ナタで手首切り落としたり杭で喉貫いたりゴア描写ありますが、何時ものフルチと比べるとカラッとしてるのもマッティ監督が担当したからかな?
主人公ケニー役のデラン・サラフィアンは「エイリアン・プレデター」や「ターミナル・ベロシティ」の監督でもあるんですね。最近ではTVドラマの演出で活躍してるようですね。ヒロインビアトリアス・リングは綺麗だけど活躍する場面はあんまりなかった気がしますね。ロジャー役のリチャード・レイモンドは前作でミミズが眼孔に這うゾンビ演じてた人だったんですね。
度々挟まれる黒人ラジオDJブルーハートが迎えるオチは中々面白い。途中から後ろ姿だけになったのが一応伏線なのか。ラストの会話はVHSの「戦うんだ」「私達戦う為に戻るの?」「勝つ為さ。負けるものか」という訳の方が好きだなぁ。
ダメゾンビ映画として酷評されることが多い作品ですが、個人的には80年代ゾンビ映画のなかではかなり好きな作品ですね。