荒野の狼

子連れ狼 冥府魔道の荒野の狼のレビュー・感想・評価

子連れ狼 冥府魔道(1973年製作の映画)
4.0
若山富三郎の子連れ狼シリーズ全6作のうちの第5弾。他のシリーズ作品に較べると、首や胴体が切られ血が噴水のように吹き出るシーンが多いものの、前作などに多用された銃が使用されず、刀や槍を使った殺陣は楽しめます。性描写は全くない硬派な仕上がりですが、強すぎる若山に対して、これといったライバルになる相手がなく、一対一の決闘も決着はすぐついてしまいます。戦いの中では、大滝秀治演じる怪僧との心理戦が見所。
第4作で、剣客の林与一に一目置かれた大五郎ですが、今回は更なる成長をみせます。艶やかな女スリ“早代わりのお葉”(佐藤友美)との約束を守るために鞭打ちの刑に涙すら見せず耐え抜く大五郎とそれを無言で影から見守る若山の姿は感動的です。大五郎の姿に心を動かされる佐藤友美は美しく、本シリーズは殺陣が5作目にきて、マンネリになっているだけに、この場面は本編とは独立した挿話ですが、一番の見所となっています。子連れ狼の“子連れ”である魅力はここにあります。
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