dm10forever

REC:レック/ザ・クアランティンのdm10foreverのレビュー・感想・評価

3.2
【再放送】

「クアランティン(quarantine)」とは感染症などの恐れがある場合の「検疫」や「隔離」を意味する言葉である・・・だって。
でしょうね。だって、そういうお話だもん(笑)

もともとはスペインで2007年に公開された同名のホラー映画を翌年にはアメリカでリメイクするという「二番煎じ」どころか「いや、ご飯ならたった今食べたばかりですから・・・」的な一本。

大前提として「ホラー」とか「ミステリー」に限らず『リメイク』っていうのが実はあんまり好きではないdm。
・・・いや、誤解がないように言えばきちんと「オリジナルに対するリスペクト」が感じられる作品であるなら、まだいいのかな。
実際、今までだってリメイクやリブートも面白がって観ていたものもいくつかあるし。

ただね、今作に関して言えば「Why?」の連続。
もし僕が厚切りジェイソンなら「ホワ~~イ、アメリカンピーポー!?!」と絶叫して・・・いや、そんな気にすらならんか・・・。

どの角度から評価すればいいんだろう?
ある意味では「至極真っ当なリメイク」です。
設定から建物の内部(部屋の配置や建物の構造など)や主人公の名前に至るまで、きれいにトレースされています。
それはまるで「もう一回同じ映画を観ているか」の如く。

ただ、きれいにトレースしたはずなのにアンジェラ(スペイン版ではアンヘラ)が可愛くない。
まぁ好みの問題なのかもしれないけど、個人的には致命的なくらいに大きな問題。
とにかく割りと早い段階でアンジェラが「強い女性」のような印象を受けてしまって、どんどん恐怖の沼に嵌っていくっていう状況においても、いまいち共感してあげられないというか、感情移入が出来ないんですよね・・・。
でも、ストーリーはきれいなまでに同じ線路の上を定刻通りに走っていく。

そもそもこれはリメイクする必要があったのか?
いや、しても構わないとは思うけど、なんでこんなに早くやる必要があったんだろう?
「所詮スペイン版はマイナーだから、まだ世界の市場ではあまり知られていないだろうし、だったら今のうちに・・」っていう算段?

・・・そりゃないでしょと。

そもそもオリジナルの時点で、POVの中でも画面の揺れが相当激しかったり、キャストの叫び声が結構頻繁に響き渡るなどの影響で賛よりも否の声の方が若干大きかった気もするんだけど、個人的には結構満足の作品ではありました。

まだフィルマすら始めていない頃に、何の予備知識もないまま、たまたまTUTAYAでジャケ借りしたのがオリジナルの「REC」で、(たいしたことないんでしょ~)くらいの感じで夜中に真っ暗な部屋で観たら、ま~怖い怖い。
当時はまだそこまで「POV」や「ファウンドフッテージホラー」をそこまで真剣に観漁った頃でもなかったという新鮮味も加わって、とにかく夜中に一人で観たことをちょっと後悔したくらいに怖かったよ。

っていう僕の「懐かしく美しい思い出」をこんな中途半端な「再現VTR」でわざわざ見せられても、なんなら自分の記憶のほうが鮮明じゃい!となってしまう。

折角やるなら、もう少しオリジナリティがあっても良かったんじゃないかな・・・。
根本的な部分の改変をしてしまうと、そもそもリメイクである意味自体が無くなるから、大規模な工事はしないにしてもね。
スペイン版のオリジナルが公開された翌年に「そっくりなアメリカ映画」を観せられても、「・・・でしょうね」という感想しか浮かばないんだけど、一体何が狙いだったんだろう?

「新たな感動」も「新たな恐怖」も「新たな発見」もないまま、ただ「劣化したREC」を見続ける1時間半。

演者たちの演技自体は悪くないと思います。
むしろ彼らのカロリー(熱量)が高い分だけ、勿体無いし可哀相。
アメリカ映画はそろそろ「人のふんどしで~」という根性を叩き直さないといけないんじゃないかな。
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