ルードヴィヒは生まれつきの享楽主義者なのか?それとも繊細で美しいもの、儚いものにどうしても惹かれてしまうのか。
墜ちた王。
エリザベートと結婚していたらどうなっていただろう。
また、もし王でなければ、芸術を愛する独りの男で済んだかも知れない。
映像美が圧巻。どこを切り撮っても画のよう。こだわり方が半端ではない。
ヴィスコンティ自身が貴族だっただけあって、王や貴族、家臣の振る舞い、屋敷や衣装、調度品の数々は筋金入り。
色調も素晴らしく、特に自然の色、白鳥のいる洞窟やラストの窓の雨の群青、外の紫。
何枚にも重ねた黒いコートや手袋、吐く息の白さ。
ヴィスコンティもヘルムート・バーガーに語らせていた。『夜が最も好きだ。』
ヘルムート・バーガーがまだ若いのに怪演。美しく、毒がありそして退廃的。神経の細さに庇護したくなり同情すら湧く。
屍が容赦なく雨に打たれ、転がっている様でさえ画になる。
ロミー・シュナイダーの気品、美しさが圧倒的だった!!
長尺だがすっかり惹き込まれてしまい、数日に分けて観たもののともかく飽きない。
ドイツ3部作、ラスト一本も観ようと思う。