カラン

フェリックスとローラのカランのレビュー・感想・評価

フェリックスとローラ(2000年製作の映画)
4.0
ジャケットのシャーロット・ゲンズブールがかっこいいなと思って観てみた。ウルフカットぎみで、黒毛が頭のラインに柔らかく巻きつくのはバンドマンみたいな感じでもあるが、彼女の細面によく似合っていて素敵。

撮影はざっとエンドロールで確認できなかったが、パトリス・ルコント本人なのかも。彼は自分でカメラを回すらしいから。自然光も人工灯も両方いけるぞと。発色をとてもうまくコントロールした35mmの撮影。座っているゲンズブールの顔をローアングルのクロースアップで画面を半分覆いながら、もう半分は曇り空のグレーにして、ひくと隣に座っている男の背景を木々のグリーンにする。ミラーボールや遊園地の照明を動かしながら光の効果を捉えるのもかっこいい。

誰かが見てる、私はつけられている式の精神病的発想の虚言癖(愛情?)がある女と素朴な男のカップルなのだが、終末感がない。レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』(1991)や『ポーラX』(1999)の「もしこの恋実らずば世界は終わる」的な、強大で禍々しい恋の圧力がないので、そんな嘘つく子と幸せはムツカシイのではと思ってしまい、しらける。シャーロット・ゲンズブールがどんなに、信じて、愛して、と言ってきても。

アクロバチックなオートバイにゲンズブールさん乗って、ぐるぐる壁を回ります。甲本ヒロトの楽曲を使ってたら、もうちょっと点数あげたかな。



レンタルDVD。35mmの枯れ切った撮影技術を堪能できる。
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