みおこし

燃えてふたたびのみおこしのレビュー・感想・評価

燃えてふたたび(1985年製作の映画)
3.7
大好きなジーン・ハックマンの幻の主演作。なんとわざわざVHSを購入してしまいました(笑)。

ハリーは工場で日々一生懸命働き、家族を養う一家の大黒柱。子供たちも独立し妻のケイトとの仲も円満だった。しかし、50歳の誕生日に仲間が開いてくれたパーティーで、バーで働く美しい女性オードリーと運命的な恋に落ちてしまう。

そう、なんとタフガイのイメージが強いハックマンが不倫の恋に落ちるというある意味衝撃の作品!!しかも中年同士の恋ということで、かなり大人向けのラブストーリーでした。相手役を務めたのは60年代を代表するアイドルで、当時40代のアン=マーグレット。年齢を感じさせない可憐なオードリー役に、そりゃあハリーも恋に落ちちゃうよなぁと納得。2人とも大好きな俳優さんなので、その2人の卓越した演技力でこんな切ない恋模様を見られるだけでも幸せ。
自責の念に駆られながらも、自分の人生はこのままじゃダメだ…と、自分の感情に素直になるお父さん、ハリー。家族からしたら絶対に許せないだろうし身勝手極まりないから、実際劇中では娘たちにさんざんなことを言われるのですが、これまで身を粉にして家族たちを守ろうと必死に働いてきたことを思うと、彼がこの恋に本気になるのも仕方ないのかなぁなんて。多くを語らずとも、”父”として”男”としての在り方に葛藤する男の姿を見事に演じ切っているハックマン、さすがでした。(本作でゴールデン・グローブ賞ノミネートとのこと!)
また、愛する夫に突然愛人ができてしまったことを知る妻ケイト役には同じく名女優のエレン・バースティン。これまた抑えた演技の中に、悲しみや女性の芯の強さが感じられて素敵でした…!本作でオスカーの助演女優賞にノミネートされた娘役のエイミー・マディガンも、自分自身も結婚で苦しんでいる矢先の父の裏切りに思い悩む様子を見事に表現していて、彼女のシーンでホロリ。

ラストは少しあっけなかったけど、片田舎で起きた”非”日常を淡々と描いた秀作でした。ポール・マッカートニーによるテーマ曲もぴったり。
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