凄い雑な見方をすると「差別よくない!」「ロリコンキモい!」な映画になるが、エロティシズムとレイシズムが本来楽園となる場所を争いの場へと変えていくブニュエル風の失楽園。ただ1人の女の子の名は「エヴィー」でイヴ、彼女が手にする林檎が男性陣(アダムス)の手へと渡る度にストーリーが動く。争いの根源は各々の生存欲、狭い孤島は弱肉強食の戦場と化す。狸は鶏を喰いちぎり(本当に喰ってる)、少女は蜘蛛を踏み潰し、男は兎を撃ち殺し、無垢なるを汚し、男同士で争いを始める。神的な物に対する冷徹な目線はいつも通り、処女を汚した男に対し牧師は「彼女の無知を利用した」と責め立てるが、こいつもこいつでなんの説明も無しに彼女に勝手に洗礼を施すし、争いに際しても倫理観をかざすだけで全く無力。よくまぁこの物語をかりそめのハッピーエンドに導いたなとは思うが、このスッキリしなさと言うのがまた人間社会なのかもしれない。