私的に特筆すべきシーンは黒人のトレバーが緊張の合間にふいにクラリネットを演奏するシーンです
この俳優バーニーハミルトンは何とあのチコハミルトンの弟なのです!クラリネットの演奏にあわせて少女エヴィーが踊るシーンはまるでルイマル映画の雰囲気でした。
(この少女が可愛いくて、ジャックドゥミの『ローラ』に出てきた少女にあまりに似ている!)
船でしか行き来出来ない孤島のような小屋に‘若い娘’ありもしない罪を着せられ逃げてきた黒人のトレバー、そして単細胞なアメリカ男の密室に近い状況がブニュエルらしい。
フィルムノワールにもコメディにも恋愛ドラマにもなりうる話が、神を信じない人、 少女の無邪気さにつけこむ男達などと、ブニュさん独自のシナリオになっていたのだが、『ビリディアナ』のような残酷さはない。
最後はかなり危うく、一筋縄ではいかないブニュエルの映画だけど、たまにはこんな終わり方も良いと思える、美しいエンディングでした。