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レッドベルト 傷だらけのファイターのHKのレビュー・感想・評価

2.8
『オデッセイ』(15)で中国人の科学者に頭を下げるキウェテル・イジョホーを見ていたらこの映画を思い出した。名劇作家デヴィッド・マメットの、曰く“格闘映画”なのだが、参考にしたのは40Sのボクシング映画ということで、要はフィルム・ノワールなのだ。試合に出ない格闘家のイジョホーは、その純粋さゆえに罠に嵌り、孤立する。マメットの映画を観ていると、昔なんかあったのか?と思わずにはいられないほど周囲に対する不信感が強烈だが、あるいは裏切られたらどうしよう?と常に恐怖心を抱いている作家なのかも知れない。本作は舞台がハリウッドであることから、純粋に映画を作りたい作家がビジネスしか頭にない連中に騙されて孤立する…という風にも受け取られたが、本人は否定している。エンセン井上など本物の格闘家が出ているが、それよりもマジシャンのセロが出演していることがマメットっぽい。やはりこれに出ているマメット・ファミリーの構成員リッキー・ジェイも、そういえばマジシャンだった。マメットは、とにかく観客を騙したいんだと語っている。
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