爆裂BOX

カルティキ/悪魔の人喰い生物の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.6
古代マヤ文明の調査の為、メキシコを訪れたジョン達は、不死の生物カルティキを祭る神殿を発見。そこには生贄が身に着けていたと思われる金銀財宝と、アメーバ状の人食い生物がいた…というストーリー。
「怪獣ウラン」や「マックイーンの絶対の危機(ピンチ)」と同じく不定形のアメーバ状の人喰い怪物が登場するイタリア産のモンスター映画です。監督はリカルド・フレーダがクレジットされてますが、撮影と特殊効果を手掛けたイタリアン・ホラーの父マリオ・バーヴァが一部演出も手掛けていて、共同監督としてクレジットされています。
ジョンはガソリン積んだトラック激突させて何とかカルティキを倒し、隊員マックスの腕についたカルティキの一部を持ちかえり研究する。一方、マックスは腕の傷からカルティキに精神まで侵蝕され、横恋慕していたジョン妻を付け狙いだし、更に彗星によって大気中の放射能が上昇したため、カルティキが巨大化して暴れだす、という内容です。
時期的にも「マックイーンの絶対の危機」のフォロワーなんでしょうが、冒頭の遺跡から生還した男が亡霊のようにふらふら歩きながらキャンプを訪れる所や、カルティキを祭った神殿、更に水中の中に転がる人骨や財宝、カルティキに顔と片腕を溶かされたマックスが病院を抜け出してジョンの妻子に迫る所等怪奇的な要素を前面に押し出しているのがイタリアらしいと言えますね。先行した二人が残したフィルムを主人公達が見る所等ファウンド・フッテージ物の要素を先行して取り入れてる所は凄いなと思いましたね。
カルティキは濡れたボロ雑巾といった見た目ですが、マヤ文明を一夜にして消滅させ、2000万年もの間生き続け、放射線を浴びれば巨大化するという設定が厨二病心くすぐってくれます(笑)巨大化して家具や壁をめりめり壊して迫ってくる重量感感じられる描写も良かったです。
水中から引き揚げたダイバーのマスク取ると顔が溶かされて骸骨むき出しになっていたり、引っ付いた腕からカルティキを取ると、白骨化していた李、カルティキに呑まれた男が白骨化していく所等今見ても割とグロい描写で、この頃からイタリア映画は残酷志向なんだなぁと思わせてくれます。
ジョンとその妻、妻に横恋慕するマックスとその恋人のリンダのドラマは正直かったるいですね。カルティキに精神を侵食されて暴走したマックスが病院を抜け出してジョンの妻子を付け狙うサブエピソードが結構尺とって描かれますが、「原子人間」の影響受けてるんでしょうが、恐怖の対象がカルティキかマックスかでブレた感じはありますね。
地球に接近した彗星の影響で、大気中の放射能が一時的に上昇したためにジョンの家で保管していたカルティキが巨大化して暴れ始める後半は、予算の関係か暴れる範囲がジョンの家だけというスケールの小ささは寂しいですが、巨大化して分裂して庭を徘徊したり、家の中を破壊しながら迫りくるカルティキからジョンが妻子を救出しようとする下りや、駆けつけた軍隊が火炎放射器や戦車隊でカルティキを掃討する戦い等怪獣映画的な見所あって楽しめました。特にジョンが庭を四方八方徘徊するカルティキをかいくぐりながら妻子の下に向う所や、梯子に上って妻子と合流するも、梯子の下にカルティキが待ち受けるシーンなどはハラハラさせてくれました。
ドラマ部分でかったるい所はありますが、残酷描写や怪獣映画的な見せ場などの魅せるサービス精神に溢れてて今見ても楽しめる作品でした。