イシ

ザ・プラマー/恐怖の訪問者のイシのレビュー・感想・評価

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オーストラリアの広大な大地に反し80分弱の話がたった一軒の家の中でほぼ完結するピーター・ウィアーのこの映画は、1972年版の「探偵~スルース~」、W・ワイラー「コレクター」、大ヒットした低予算ホラーシリーズなど、これまで数多くつくられてきた密室劇の緊張感を引き継がなかったようで残念に思う。
毎日のようにバスルームを壊しにくる男を警察に突き出さない主人公というご都合主義的な設定を終わりまでひっぱるやり方は、シチュエーション・ドラマでしばしば起こる、思いついたどんでん返しネタを捨てられなかった制作側の怠慢の典型で、脚本執筆の段階で深められなかった登場人物たちの姿に目も当てられなくなってゆくのがとても悲しい。ボブ・ディラン・カラオケの場面では、酔っぱらった自分の上司を見ているようないたたまれない気持ちをいだくだろう。
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