IMAO

不審者のIMAOのネタバレレビュー・内容・結末

不審者(1951年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

警察官の主人公(ヴァン・ヘフリン)は不審者の通報のあった家へと同僚と向かう。そこには元芸能人の人妻(イブリン・キース)が住んでいる。彼女のことを一目で好きになったヘフリンは、見周りと称して彼女の家をまた訪ねる。警察官だということで安心したのか、キースはヘフリンにコーヒーを勧める。次第に同郷であることがわかり、2人は親しくなってゆく。ほどなくして2人は恋仲になるが、そのうち2人の関係はラジオDJの夫にばれることになる。しかし、ヘフリンは不審者を装ってその夫を殺すが、正当防衛ということで無罪になる。しばらくしてヘフリンとキースは結婚するのだが…

不倫関係から殺人になって…というストーリーのお手本の様な脚本。何が良いといって、この2人の打算というか、損得勘定で物事を捉えようとする感じがとても上手く描けている。男女関係は複雑で、愛と呼ばれるものも肉体関係や、金銭関係の上でなりたっていたりする。通常はそういうところに目を瞑って我々は生きていこうとするが、この2人には次第に自分の欲望が露わになってくる。そこで一気に破綻してゆく後半のスピード感たるや!ラスト近くで流れる音楽が前夫のラジオの録音だったり、ゴーストタウンに元同僚がやってきたり、そしてラスト、ヘフリンが追い詰められて撃たれるところまで、全ての伏線が畳み掛ける感じが素晴らしい。
赤狩りで一時期実名では活動出来なかった、伝説の脚本家ダルトン・トランボの作品でもある。
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