タケオ

その男は、静かな隣人のタケオのレビュー・感想・評価

その男は、静かな隣人(2007年製作の映画)
3.8
上司や同僚から無能扱いされている冴えないサラリーマンのボブは、デスクに隠した銃に弾を込めては「いつか屑どもを皆殺しにしてやろう」と妄想する毎日を送っていた。

ある日、ついに堪忍袋の緒が切れたボブは日々の妄想を実行に移すことを決意するが、その時彼が目にしたのは自分よりも先に同僚が銃を乱射するという衝撃的な光景だった。

結果的に自分の持っていた銃で同僚を射殺したボブは、会社や世間から"反社会的人間に立ち向かったヒーロー"として祭り上げられていく•••。

危険な妄想に取り憑かれた冴えない主人公ボブを「ヘザース/ベロニカの熱い日」や「トゥルーロマンス」などでとにかくギラギラしていたクリスチャン•スレーターが演じているけど、本当にクリスチャン•スレーターなのかと疑いたくなるほど冴えないサラリーマンを見事に演じていました!

それにしても本当に恐ろしい作品です。
鑑賞後、完膚なきまでに打ちのめされました
_:(´ཀ`」 ∠):

なんというか「LIFE!」と「ファイトクラブ」と「フォーリング•ダウン」を足して3で割って、そこに救いようがないほどの現実味を持たせたのが本作って感じかなぁ〜。

現実でも空想の世界でも決して幸せを掴むことができなかった男ボブの奮闘劇は、きっとストレス社会を生きる方々にはズシンと(嫌な意味で)響くはず!

幸せや救いの手はどこにもない。
ただ「救われたい」と願う気持ちが蓄積していく救われない世の中の物語。

多くの人々は「静かな隣人でした」と彼を憐れむが、今すぐそこに、いや 自分の中にもボブがいることに誰も気づいていないのかもしれない。
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