アキラナウェイ

マッド・ラブのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

マッド・ラブ(1995年製作の映画)
3.8
他の人にとっては多分大したものではなくても、自分にとっては何故か記憶に残る映画ってのがある。

僕にとってのそれがこれ。
初めて観たのは、大学1回生の頃(1996年)。
親の制止を振り切って、高校生同士の逃避行。
当時の自分に、等身大で響いたんだと思う。
24年振りに無性に観たくなって、
レンタル落ちのDVDを200円で購入しちゃったよ。

シアトルに住む高校生のマット(クリス・オドネル)は、母が家を出て以来、小学生の弟と妹の世話に明け暮れていた。湖を挟んだ向こう岸に越してきた転校生ケイシー(ドリュー・バリモア)に惹かれるマット。互いに親の抑圧を感じていた2人は、逃避行の旅に出る。

個人的には凄く好きだったけど、映画界からはすっかり姿を消してしまったクリス・オドネル。品行方正なマットにはハマり役。

破天荒なヒロイン、ケイシーを魅力的に演じ、最高にキュートなドリュー・バリモア。眉毛が細いのは時代を感じる。

彼女をライブに誘おうと、自宅のポストにチケットを入れる任務を弟に任せるマット。試験中の彼を教室の外からいくら呼んでも気付いてくれないから、非常ベルを鳴らすケイシー。両親と大喧嘩してムシャクシャしたから湖に飛び込んだ彼女を迎えに対岸から湖に飛び込むマット。

もう、何せ恋のエピソードの1つ1つが、若くて青くて甘酸っぱい。

真面目なマットはケイシーに触発されて、父親の言いなりで真面目に生きる事に嫌気が差して、そのレールを外れた生き方を夢見て。

非常ベルを鳴らして停学を食らった事で、父親から寄宿学校に入れさせられそうになるケイシーも、その束縛から蝶の様に飛び立つ事を夢見て。

気ままに車を走らせ、自由を謳歌する2人。
しかし、ケイシーは心の病いを抱えていた——。

何かを手に入れて満足しても、それをすぐに壊してしまう。落ち着かず、取り繕う様に笑うドリュー・バリモアの演技が光る。涙化粧のパンダメイクが遣る瀬無さを助長する。

ケイシーが部屋の壁に目の写真を貼りまくるシーンがひたすら怖い。このシーンの記憶だけは、ずっと忘れられない。

マットの弟と妹の双子ちゃんが堪らなく可愛い。
ケイシーの母親役に「ボーン・シリーズ」のジョアン・アレン。「ミシシッピー・バーニング」に出ていたケヴィン・ダンは、マットの父親役。「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」のリーヴ・シュレイバーもちょこっと出演。

結局、ケイシーの病気は自分達の手に負えなくなって、親元に帰っていく2人だけど、当時の僕には2人の心の痛みがひたすら刺さった。

200円のタイムトリップ。
今観ても、やっぱりこの作品は好きだなぁ。