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ファンタズム IVのhorahukiのレビュー・感想・評価

ファンタズム IV(1998年製作の映画)
3.4
『ファンタズム』シリーズ四作目。
バディムービーでアドベンチャー路線だった2と3の「わかりやすく面白い」路線から1に近い不条理さを取り戻し、ファンタジックかつ不気味な映像表現に重きを置いた原点回帰的な作品。

若干やる気を失っていたレジーおじさんでしたが、親友ジョディに焚き付けられて再びマイク青年を取り戻すためにトールマンを追うというのが本作の本筋。

フレディクルーガーのような爛れた顔面の怪物とのパトカー内での死闘は、ショットガンで車内からぶち抜くという見せたいものありきな不自然なシークエンスでしたが、その後の爆発炎上した車内から燃え盛る炎をバックに歩いてくる怪物の悪魔的ビジュアルはカッコよかった。

岩場以外に見渡す限り何もない広大な荒野には頭上から強い光が刺しこみ、そんな場所にひとり佇むマイク青年。そして遥か向こう側からこちらを凝視するトールマンという光景が異空間に迷い込んだかのような幻想的な印象を与える。

さらにはシリーズを通して空間位相の象徴として用いられる二本のポールと、空間も時間も飛び越えたマイクとトールマンとのやり取りは首吊りシーンの美しさと相まって、決して逃げることのできない運命としての牢獄がいかに彼らの人生の奥深くに強く根付いているのかが思い知らされて嫌な恐怖感を植えつけられる。

そして定番となったレジーおじさんの女癖の悪さは今作でも遺憾無く発揮されており、さぁヤルゾと言わんばかりに眠ってる美女の服を脱がせようとしたら、何とそこにあったのはおっぱいではなく胸にめり込んだ2つのシルバースフィア。これには流石のレジーおじさんもビックリ!

おっぱいスフィアだけにとどまらず、シリーズお馴染みの最強兵器シルバースフィアが頭の中に埋め込まれて人体と一体化したりとクローネンバーグ要素が段々と強くなってきており、マイク青年なんてシルバースフィアの影響で超能力まで使い始める始末。

本作ではトールマンが如何にして誕生したかが明らかになるのですが、空想・幻想としての要素が非常に強かったシリーズに「解答」を与えるようなことは正直して欲しくなかった。SF的に見るとワクワクする展開ではあるんだけど、これを『ファンタズム』でやらなくてもな〜という気持ちになります。

一作目を作った段階でコスカレリ監督は続編を作り気はなかったとインタビューで語っているので、こういった路線になるのは仕方ないとは思いますが…。とはいえ勝機も終焉も見えない絶望感があるので雰囲気は好きです。

というか花粉ヤバイ…。ここ数年あんまり症状出てなかったし昨日まで全然大丈夫だったから油断してたら今日はエグくて、鼻を毟り取りたくなるくらいに酷かった。朝に薬飲んどきゃ良かった…(T . T)
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