このレビューはネタバレを含みます
貧乏学生バルドゥインが金と引き換えに自分の鏡像を奪われ翻弄され自ら自分を殺す羽目になるお話。昔の狩りってこんな犬の大群連れてくもんなのかな…。
舞台劇的な構図や芝居の中に映画的な表現が見え隠れして楽しいです。やはりバルドゥインの分身の表現は白眉。それでも人物の動きはところどころ苦しい。
バルドゥインとその鏡像の表情の付け方が気合い入ってて凄いです。への字口で剣の血を拭う鏡像は歌舞伎のよう。そしてド根性で壁を登るリュドゥシュカ。
終盤、実体を追い込みにかかる鏡像バルドウィンが殆ど怪談の域になっていて楽しい。何でここにきて頑張るんだ。鏡像を退治したと思いきや実体の自分が死ぬ最期。ラストカットが素晴らしい。
思想的な潮流を意識しているのも明白でしたし、暗い筋立ても印象的でしたが、それよりも学生には全く見えないながらも画面映えが凄いバルドゥインがとにかく楽しかった作品でした。