pika

この女たちのすべてを語らないためにのpikaのレビュー・感想・評価

4.5
ベルイマン初カラー作品。撮影ニクヴィスト。
ウェス・アンダーソンのようなパラジャーノフのような舞台劇ぽい構図で舞台演出家ならではの画面構図なのかなと余所事を考えて見ているとトンカチで頭をぶん殴られる衝撃に面食らう!笑

サイレント映画のドタバタ喜劇かよ!なんだこれwwという具合のシュールな展開と、ブツ切りにしたり旋律を奏でたりと一見ベタに見えるがとても計算されていて巧妙な音楽の使い方が絶妙なバランスで振り切られていて、カラーであることを最大限楽しんでやれ!という彩色の美しさなど目で見ても耳で聞いてもめちゃくちゃ面白い。

表層は完璧な喜劇でニヤニヤと思わず笑いがこみ上げてくるのに、ペラリと一枚剥ぐとシニカル過ぎて全く笑えないこのバランス感!全然違うけどフェリーニの「オーケストラ・リハーサル」を思い出す。

ダメな人は生理的に全く受け付けられないだろうやり過ぎ感が半端じゃなく、好きな人は口角上がって口が裂けるんじゃないかと言うほどにツボな塩梅。
今作がベルイマンを難解な作家のイメージに押し上げた「神の沈黙3部作」と「ベルイマンという作家の苦悩3部作?(勝手なイメージ)」の間に位置されていることから作品としても立ち位置的にもシュール過ぎる突き抜けっぷりに、ベルイマンという稀有な才能を持つ映画監督をさらに好きになった。
めちゃくちゃ面白い。ホント面白い。ベルイマン最高!
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