継

ナンニ・モレッティのエイプリルの継のレビュー・感想・評価

3.5
ベルルスコーニが選挙に勝った当時のお話。
フランス人記者から彼の記録映画を撮るべきと言われるイタリア人のモレッティ監督(本人。監督&主演)。
カルチョ(=サッカー⚽) ファンは良く分かるだろうけど、ローマっ子なだけにミラニスタ(=元々ベルルスコーニがオーナーだったACミランというクラブの熱狂的サポーターを指す) には辛辣で、内心は複雑。。

以前レビューした『親愛なる日記』同様、この監督の作品はたまに自身の近況をネタに話を膨らます内容になるんですが、本作もその一つで子供の誕生とイタリアの政変を絡めて映画監督としての自身の心境をユーモラスにさらけ出す様な作りになっています。

念願のミュージカル映画は撮影開始までこぎつけたけど敢えなく中止となり、義務感に駆られて撮らねば!と気色ばむ記録映画には、どーにも湧かないモチベーション。。
本来撮りたい映画と、撮らねばと意気込む映画の板挟みになる自身を、ユーモラスに描く半ドキュメンタリーみたいなストーリー。

モレッティが母親との電話で『ヒート』の筋をテキトーに語るくだりや、妊婦の妻と観る映画に悩んだあげく『ストレンジデイズ』を選んで“胎教に失敗した!”って後になって頭抱えて後悔する、恒例の(?)映画の小ネタは安定の面白さでした。

選挙と妻の出産を控え、遅々として進まない記録映画。無事に誕生した息子👶ピエトロくんに一安心もつかの間、にわかに「父親」としての自我と役割に目覚めてしまうモレッティ。
かくして記録映画を撮る名目の本作は、いつしか育児映画に(笑)
奥さんのシルヴィア、生まれたばかりのピエトロくん、モレッティの母親もそれぞれ本人が演じてました。

撮りたい映画を撮るべきと漸く気づくモレッティ。
念願の菓子職人のミュージカルは、音楽に造形が深い彼ならホントに楽しいミュージカルに撮れそうな気がします(^^)。

『夫婦の危機』もベルルスコーニを描いている?ようですが、観れてないので関連は分からず。モレッティがベルルスコーニをどう描いてるのか、ちょっと気になるところです。
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