半兵衛

剣聖 暁の三十六番斬りの半兵衛のレビュー・感想・評価

剣聖 暁の三十六番斬り(1957年製作の映画)
3.0
チャンバラスター嵐寛寿郎の五十代とは思えぬ巧みな太刀さばきをただただ堪能する古き良き時代劇映画、映画的には特に新規工夫もされておらずオーソドックスな造りになっているが半世紀以上前のお客さんはスクリーンに映ったこうしたスターの勇姿に喝采を送っていたのかと考えると味わい深いかも。

アラカンさんは当たり役の鞍馬天狗と変わらず品行方正で真面目な武士(本人は逆なのに)、その奥さんは当時セクシー女優として一世を風靡した前田通子だがそういう場面は一切無くてひたすら真面目に主人公の奥さんを演じているので魅力が感じられない。そして脇役なのにかなり目立ちスターとしての片鱗を覗かせる丹波哲郎、荒木又右衛門をサポートする美味しい役柄なのに全く存在感がない天知茂も見所。

ラストの鍵屋での死闘は敵役が武道の達人なのかと疑うくらいすぐに斬られるのが気になるが、アラカンさんの剣術が凄いのでそれなりに楽しめる。余韻を一切残さず終了させるラストもいかにも昔のプログラムピクチャーらしい。

ちなみに冒頭で荒木又右衛門が柳生新陰流を習得するエピソードがあるが、実際には鍵屋での死闘で自分の未熟さを悟った又右衛門がその後改めて柳生新陰流を覚えたのだとか…。あれだけ強いのに超一流のプレーヤーは何を考えているのか判らん。
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