MiYA

奇跡を呼ぶ男のMiYAのレビュー・感想・評価

奇跡を呼ぶ男(1992年製作の映画)
3.5
この映画で描かれた、ショーアップされた説教や拝金主義などは、恐らく福音派と言われる一派のやり口であり(詐欺までやってるかは知りませんが)、本作はそれを揶揄又は批判したものではないかと邪推しています。福音派はトランプ支持の一大勢力であるように、その影響力は現代のアメリカにおいても大きいのです。

本作では、信者の個人情報を予め入手したりサクラを使ったりして、スティーヴ・マーティンが巧みな弁舌によって会場を熱狂させる。誰にでも心当たりがありそうなことを指摘し、望みが叶えば信仰のおかげであり、望みが叶わなかれば信仰が足りないからだという。昔から変わらないカルトの手口ですね。詐欺であることは間違いないのですが、本人が満足している以上、被害者はいないのだという彼の主張には考えさせられるところがあります。そして、スティーヴ・マーティンの話術とパフォーマンスは本作の最大の見所。ちなみの彼のペテンを暴こうとするのが無名時代のリーアム・ニーソンだったりします。

本作で面白いのは、インチキな奇跡を捏造してきた彼が、本当の奇跡に遭遇してしまったこと。そのとき彼がいかなる行動をとるかが本作の山場となるわけですが、この派手な映画の締めくくりとしては寂しいというか、物足りないところがあります。
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