ミシンそば

火事だよ!カワイ子ちゃんのミシンそばのレビュー・感想・評価

火事だよ!カワイ子ちゃん(1967年製作の映画)
3.5
ミロス・フォアマンが最後にチェコで撮った作品で、「マルケータ・ラザロヴァー」や「ひなぎく」などと並ぶチェコ映画のマスターピース的な存在。
作られた時期(チェコ事件直前)や、本作がチェコヌーヴェル・ヴァーグの中心である事実。
そしてその後のフォアマンのキャリアなどなどを鑑みても、この作品の“重要さ”は映画史の中でも高い方だろう。

まぁ、面白くはなかったんだけど。
田舎の消防署の重役老人たちの醜悪さと、パーティーのグダグダさは観ていて終始居たたまれない気持ちにさせられる。
ルッキズムや保身、より強い権力への阿諛追従。
そして本当に困っている人を助けようとしない姿勢は、無茶苦茶分かりやすい共産主義批判だ。
例によって、本作もしばらく上映禁止になったようだが、それも納得の露骨さ。

終盤まで超グダグダなんだけど、最終盤の火事で作品自体の空気もパリッと締まり、その露骨な張りつめ方のまま本作は終わる。