たらこパスタ

アウト・オブ・ブルーのたらこパスタのネタバレレビュー・内容・結末

アウト・オブ・ブルー(1980年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

シービー....!!!
子どもらしい人懐こさと孤高のパンクロッカーなマインドの同居する危うさがとても生々しく、魅力的な人物でした。
同居と書いたけど、甘えたり安心を得たりしたいけど大好きな家族はそれを許してくれない状況であるから反動形成がパンクロッカーたちの言葉や生き様を借りて発現したようにも思えました

シービーが年齢が子どもであり、大人を前に抵抗できない無力感や苛立ちを強調するようなもどかしいカメラワークが印象に残りました。
あと自宅室内で起こることがどれも心苦しいですが部屋の使用の仕方がその気まずさや苦しみを効果的に伝えていて、部屋のシーンどれも忘れられないです
壁数枚という微妙すぎる壁で遮断できない苦しさから解放してくれるパンクロックで埋め尽くされた部屋から逆説的にストレスの強さを直視させられます...

デニスホッパーさんが演じるドンも目が離せない人物でした。純粋さや嘘のつけなさと取り返しのつかない加害が衝動的に混在する危うさがあり、写っているシーンに緊張感をずっと感じさせていたように思います。

自らをスパークさせていく彼女はまさに“It’s better to burn out than to fade away.” でした。
主題歌のMy My, Hey Heyにもあるこのフレーズ、元はKurt Cobainさんの遺書の言葉なのですね。全文もネットで調べると見ることができるのですが、読んでみて思ったことがあり、ドンが部分的にこのKurt Cobainさんの文で描かれている内容に重なるような人物描写がある点です。そのことを踏まえて、ドンもまたIt’s better to burn out than to fade awayと思っていたのかなぁと思いました。冒頭の事故のシーンはドンの心理が敢えてある程度マスキングされているような印象を受けましたが、あの時ドンは飲酒のせいではなく何度目かのburn outの失敗だったのではないかと思えてきてしまいました。
抽象的な言い方になってしまうのですが、この作品を観ていてはじまる前に終わっていてずっと取り返しがつかないまま進んでいく時間をシービーたちと共有している感覚があり、前述した内容によりその感覚が見終わった後にじわじわと増幅していきました。

面会する時の両耳電話のシーンがなんだか好きだったなぁ
たらこパスタ

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