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最後のサムライ/ザ・チャレンジのHKのレビュー・感想・評価

3.0
ほぼ全編日本ロケなのに日本未公開の作品です。
これは珍品!・・・というかこのスタッフ・キャストで珍品でいいのか?
監督は『影なき狙撃者』『ブラック・サンデー』のジョン・フランケンハイマー。
音楽は『トラ!トラ!トラ!』や『猿の惑星』を思わせるジェリー・ゴールドスミス御大。

ある日本刀をL.A.から日本に運ぶために雇われたボクサー崩れ(スコット・グレン)が日本に着くなりその刀をめぐる政財界の大物(中村敦夫)とその兄である道場主(三船敏郎)との抗争に巻き込まれつつ武士道に目覚めます・・・(?)

グレン(当時41歳)は翌年の『ライトスタッフ』あたりから売れ始めたため本作ではほとんど無名。日本ロケではイセ海老の活け造りやドジョウの踊り食い攻撃にさらされます。
ついでに言うとこのときの武術指導はやはり無名の頃のスティーブン・セガール。

フランケンハイマーとは『グラン・プリ』でも組んだ三船(当時62歳)は、中村敦夫(当時42歳)とは兄弟であり宿敵同士の設定。
三船陣営には宮口精二、稲葉義男といった『七人の侍』メンバーもいます。

日本の風景と重なるゴールドスミスの劇伴にちょっと違和感があったのは私だけか・・・
クライマックスは敵(中村)の本拠である巨大ビルに潜入して大暴れの三船とグレン。
日本なのに警察(?)がマシンガン武装なのは『ブラック・レイン』と同じ。
対して刀と弓矢で武装した三船はまるでランボー。しかも着物。
グレンも背中に刀の忍者ルックにマシンガン。
ビルの中で追手にマキビシを巻く三船! 厚底の靴にマキビシは効くのか?

最後は兄弟とも着物姿で正統派の果たし合いチャンバラ(三船と中村の殺陣は見応えアリ)。
途中からはグレンと中村のホチキスから電気ケーブルまで武器は何でもアリの異種混合試合(こちらは007アクション風?)。

フランケンハイマーは社会派の名作や硬派のアクション物も多いのに、たまに『殺し屋ハリー/華麗なる挑戦』や本作のような作品を撮ってしまうのがご愛敬。
でもなぜか憎めません。
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