半兵衛

最後のサムライ/ザ・チャレンジの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.0
二つの日本刀をめぐる争いに巻き込まれたアメリカ人青年(スコット・グレン)が、日本で出会った侍(三船敏郎)に感化されていくというアメリカ製ジャパン映画。日本の文化に対する描写は監督が親日家だけにどれもそれなりに配慮と理解があり親しみはもてるが、そもそも現代日本に侍はいないし忍者と侍を混同していたりするため日本人からすると首を傾げざるを得ない作品に。それでも撮影の岡崎宏三や殺陣担当の久世竜をはじめ日本人スタッフがサポートをしているので和洋折衷というスタイルがそれなりに完成されているので見ごたえはあるし、なにより最初は断絶気味だった日本人とアメリカ人がお互いのことを理解していくという作風は後年の『ブラックレイン』や『ラストサムライ』に繋がっていくと考えるとそれなりに意義はあったと思えてくる。

京都が舞台のはずなのに何故か神田など東京のロケが目立つし誰も京都弁を喋らないし、音楽を担当するジェリー・ゴールドスミスのスコアがチャイナ風なので日本人としては違和感がありまくり。

こんな映画でもフランケンハイマー監督のアクション演出は冴えまくっていて、テンポもいいし追いかけっこもかなりの迫力だし、なにより車椅子の男を拷問する場面ではナイフを予想外のところに刺して観客の心をゾクッとさせる。そのあとの始末の仕方も車椅子という特徴を見事に生かしていて完璧。

スコット・グレンは一応ボクサーなのに、中盤までヤクザやら侍やら色んな奴らに一方的にやられていてちょっと可哀想。そして首から下を地面に埋めてひたすら瞑想するという謎の修行を経ていきなり強くなるが、それが剣道と何の因果があるのかはっきりしないため日本の精神との融和というメッセージが今一つ響かない。

菊千代、久蔵、五郎兵衛という『七人の侍』の三人が同じ画面に揃っているのが映画ファンとしてはテンションが滅茶苦茶上がる(多分監督が一番喜んでいたはず)。そして敵のボスが中村敦夫で、何を考えているのか読めない仏頂面がクールな悪党キャラと結構合っていた。

ラストの対決は刀や銃だけではなく手裏剣、まきびしと何でもありの状態に。そして肝心のラスボスとの物をひたすら破壊して刀だけではなく素手などあらゆる手段で対決する必死すぎる対決は結構凄い迫力で必見、そしてとどめは結構グロい。

それにしてもどじょうの踊り食いなんてどうやって思い付いたんだろう、あんな生き物生の状態では泥臭くてとても食えたものじゃないのに。白魚と勘違いしたのか、それともどじょうの別名「踊り子」(酸素が欠乏して泥から地上に踊るように上がることから名付けられた)からイメージしたのか?
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