Kei

アウトフォックス 〜イラク戦争を導いたプロパガンダTV〜のKeiのレビュー・感想・評価

4.0
「彼らが欲しがっているものを与えただけ」
とはトランプ当選を後押ししたとされるフェイクニュースサイトの発信者の弁。
大統領選挙中にクリントン陣営の偽不祥事ニュースの大量配信によって多額の広告収入を得ていました。
彼らにはイデオロギーや正義感などなく、
あるのは儲け主義の理念だけ。
いまや、ネットの隅々まで行き渡ったこの恐るべき資本主義を既存メディアにおいていち早く実践してみせたのがこの映画の主人公FOXの生みの親ルパード・マードック。この映画には描かれていませんが(2004年の映画なので)、彼の本当に恐ろしいところは極右的なイデオロギーで民衆を操ること自体が目的ではないこと。その証拠に彼はオバマ政権に対してもロビー活動を行ない、政権の出方によってはこれまでの極右的な報道を180度転回させてオバマ政権の広告塔になることを提案しています。つねに世の中の流れを読み金儲けの為に自らの主義主張も簡単に変えられるところが本当に恐ろしいところです。
この映画で描かれてるいなかった部分でもう一つの恐ろしいところはFOXはイラク戦争の単独中継権を共産党から得ていて、従軍カメラマンによる戦争ショーを独占配信することにより大儲けしていたこと。つまり彼らは世論を支配し金儲けのためにイラク戦争を始めさせた張本人達だということです。
トランプが政権を握りさらに狡猾になったFOXと手を握りあった今、この映画を見る意味がより深くなっていると思います。
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