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はなくじらちちの小のレビュー・感想・評価

はなくじらちち(2016年製作の映画)
3.8
次世代の映画作家の発掘や育成を目的とした文化庁の委託事業「若手映画作家育成プロジェクト(New Directions in Japanese Cinema=ndjc)」の2015年度に製作された4作品のユーロスペースでの特別上映最終日に鑑賞。監督4人のトークショー付き。

監督は20~30代。どの作品もきっちりまとまっていて、面白く、全く退屈しなかった。これなら、アンコール上映もあり得るのではないかと。

作品に共通して感じるのは優しさ、葛藤の少なさ。若い人は今の時代を、オジサンが考えているよりも、前向きにとらえているのかも。あるいは、先行き不透明で閉塞感、ストレスが強いからこそなのかなあ。

15年前に失踪し、ホームレスとなった父に、女子プロレスラーの娘と恋人のマネージャーが会いにくる。マネージャーの目的は、結婚の許可をもらうため。娘はお父さんに会いたいから、らしい。

4作品中一番地味でベタな感じがする。面白さも4作品の中でも一番少な目だけど、個人的にはこの作品が一番共感できて、一番好きかな。

父はダメ男なんだけど、失踪した理由が、やはりダメ男の自分には理解できる。自分が何なのかと、自我がぐらつく感じ。

そして、「そんなつまらないことで」と娘になじられた父の叫びも立派じゃないかと。だから、トークショーで話題となったラリアート論争は、監督の描き方が好き。
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