ねぎおSTOPWAR

ガール・スパークスのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ガール・スパークス(2007年製作の映画)
3.8
《勝手に石井裕也祭り》

DVD化する際にUPLINK社が撮影してくっつけた特典インタビューにおいて、石井監督本人がちょっと示唆していたけれど、今作「ガール・スパークス」は転換期に作られたものなのかもしれない。映画ってものが自分からぶわーっと湧き出るものから、受け取る観客の目線を意識するようになり始めた作品という位置づけ。
言ってみればサービス精神なのかもしれないし、エンタメであることを受け入れたということかも・・。ご本人いわく、そうしたシーンはどこかこっぱずかしいようですが、観ている側からしたら面白い!・・まだ<シュールな笑い>であってもね!😆


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主人公はネジ作り工場社長の父と二人暮らしの女子高生 配島冴子(井川あゆこ)。
見上げる空にはなぜかロケットなのか長距離弾道ミサイルなのかが飛び交っている。
父は母役をこなそうと突然メイクをする。風呂場にうんこをする。工場スタッフを突然住み込みにする・・・繊細な女子高生としてはイライラの毎日。
学校ではセクハラまがいの授業や、まったく煮え切らない奴らばかり。
そんな冴子が或る日スパークするのだった・・・
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セクハラまがいの授業をする先生役には、いつもの桂都んぼ<桂米紫>さん。冒頭からなかなか笑えますよ‼️

今作から「客観で撮り始めた」という監督。
・・腑に落ちるのはとある小説家のことです。処女作を書き始める時って、まずは一人称で書いていったほうがいいんですって。書きやすいしブレないと。そして徐々に三人称、客観で書き出すのがいいという話でした。
なんかまさに石井監督の道筋に思えてくるんですね。
決して意図してしたことではないんだとは思います。ですがなるほど自然にそういうルートを通って行ったのではないかと。

石井さんは別の場所で「自分のバイオグラフィをそんなに〇〇期とか理論的な進化の過程・・みたいには捉えていない」という主旨のことをおっしゃっていました。その時々のパッションや思いから作っているだけで、もちろん制作時期と公開タイミングって順列ではありませんしね・・あーやっぱり佐野元春さん的なんだろうなと思います。アーティストであって自分の心に正直な方なんでしょうね。

・・でもやはりひとつの転換点に位置する映画のようには思えますね。w