ベビーパウダー山崎

オペラ座の怪人のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

オペラ座の怪人(1998年製作の映画)
3.0
誰が何の目的を持って、どこに向かっているのかまるで分からないオペラ座の怪人だが、アーシア・アルジェントが過去一美しく撮られていて、これはこれで良いと思う。同じ顔した親父の映画でも全力で濡れ場をこなすアーシア。アーシアの叫びで終わらすのが父アルジェントのデカすぎる愛情。追い詰められて壊れて、その「絶望的な狂気」こそが最も尊いのだとアルジェントは訴えかけてくる。
アルジェント映画、見過ごされがちだが、ギャグをあえて積極的にぶっ込んでくる作家性。残酷な死と暴力的な笑い。ネズミ、オウム、小人の首の切断。ヒッチコックばりの群衆、落下と悲鳴。変態作家が生み出す歪な世界を渡り歩くジュリアン・サンズは闇の王子様。