こぅ

ロザリー・残酷な美少女のこぅのレビュー・感想・評価

ロザリー・残酷な美少女(1972年製作の映画)
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「私はものを知らないけど
それが人に頼み事する態度?」

【悪魔の追跡 4K版】が公開中だったジャック・スターレット監督による、
ほのぼの【サスペンス】。

久々2回目の鑑賞。


・【ミザリー】の元ネタ⁈
本作は、
拘束と駆け引きが 皮肉と滑稽 を生むドラマだ。
ロザリー(ボニー・べデリア)に巻き込まれる相手は、ヒッチハイクに偶々引っかかったセールスマンで、獲物は無差別だったのだ。
ロバで、ベッド毎ニューメキシコの荒野に引き摺られて行く様は滑稽だ。
1人にしないでって自分勝手な理由で、タイヤはパンクさせられ、足を折られ、小屋から足止めしたロザリーをヴァージル(ケン・ハワード)は憎んでいるのだが、彼女の世話が頼りであり、祖父、ベアが生前に隠したゴールドを狙う敵であるフライ(アンソニー・ザーブ)から守ったり、追い払う為に協力して芝居をしたり、又、ロザリーに医者を連れて来てもらう為、車のパンク修理をさせる為にはご機嫌取りで擬似ラヴ(添い寝やキスも)する羽目になるのは皮肉で滑稽だ。
ヴァージルがロリコンだったならマジになって、本作は成り立たない。
空気ポンプを買いに行かせた隙に自力で逃げ、探すロザリーが倒れたヴァージル見つけて泣いて抱きしめるも、ポンプの心配が第一声や、ヴァージルが与えた新しい服を嬉しそうにはしゃいで着て見せるロザリーをガン無視で、パンク修理を先走り、ロザリーが機嫌損ね、慌ててご機嫌取りにいくパートはその象徴である。
2人の関係/理由は違うし、
作風も真逆だが、S・キングが本作を観ていたら【ミザリー】のヒントにしたのは確定だろう。


・キャストの好演
ほぼキャビンでの
ワンシチュで、ほぼ3人劇だ。
3人共、表情/演技が良い。
ロザリー役、ボニー(24)は、【ダイ・ハード】抜擢16年前で、スリム美人。
下着姿で、タイヤに空気入れする滑稽な姿を拝めるのはファンにはお宝か⁈
躁鬱病か⁈キレたり泣いたり、一筋縄ではいかない読めない性格だ。
彼女を乗せてあげた
親切なセールスマンが、ヴァージルだ。
性格は、厳しさもあるが、芯は優しい/お人好し/真面目なので、それが 結末を左右 する。
ケンが情けない役を好演。
ロザリーの祖父、
ベアと知り合いで、ずっと金塊を狙っていたのが、キモい/汚いフライ。
性格は、素直⁈単純で騙されやすい。
兎に角、金塊さえ手に入れば良い野蛮な男。
【パピヨン】、【マトリックス】等のアンソニーが腐れ男を好演。


・ラスト/オチ/【ミザリー】との相違点
ストレスからスカッと
エンディングを想像する終盤の展開も束の間、、
ラストのロザリーの言動は、正統な どんでん返し と呼べる。
ビックリより 唖然 とする。
それまでの言動/態度/目的が覆されるからだ。
それもヴァージルの性格 故にだ。
ありきたりな締めじゃないからこそのカルトの所以だ。
ストップモーションでの ズームアウトエンド もユニーク。
ただ、あれはあのまま通らないだろう。

全体としては、
'70年代特有の ユルさ(劇伴含む) は良いとして、
途中の無駄を10分くらい削いで、も少しコンパクトにして欲しかった。
撮影は、カット数少なく長回しをメインとしていて、アングルも良好。
DVDの変色する画質は酷悪で、レストアされたモノを視聴してみたいものだ。
こぅ

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