教授

タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密の教授のレビュー・感想・評価

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語るのが凄く難しい映画だった。
スピルバーグ監督が初めて手がけるアニメーション映画で、しかも3D。
いわゆる「フィルム」メイドではなく、デジタル表現という「新しい武器」を試しまくっている爽快さが一番の特徴。

よく音楽の世界でもデジタル機材を駆使するときに、実は往年のアナログ機材への知識や取り扱いの経験がモノを言うとか言われたりするが、本作の手触りもそんな感じ。

オールドスクールなフィルムメイカーといったイメージの強い作劇を踏襲するということを最大限に活かす題材としてコミック(バンド・デシネ)原作というのは理に適っていて、的確。
アニメーション映画としての重点は「絵を動かす」カタルシスが何か、というセンスが肝になってくる。
そもそも「映画」全編にも言えるセンスと同義なのだが、アニメーションは、それらが全て「描かれた」素材だからこそより作り手の感性がダイレクトに反映される。

その自由さが、過剰すぎるほど発揮されていてスピルバーグは「映画が上手い」という評価に集約されるのは本作を観るとよりはっきりとわかる。
いわゆる「カメラを置く」とか「カットを切る」という制約から解放された「動き」が全編に渡って展開するので「画作り」としては完璧。
とにかくスピルバーグが楽しんで作っているのが重い浮かぶ。

反面、子供向けコミックという題材でもあり、シンプルな勧善懲悪ストーリーでもあるし、宝探しの物語としてもオーソドックスで、逆を言えば単調。
ドラマとして何か深みを捉えるというのはとても難しい。
映像が凄すぎる分、ドラマに入ると思い入れるだけの妙味は薄く感じてしまう。

特に終盤の大団円については、2段階のオチがつき、あわよくばシリーズ化したいのかもしれないが、クドさの方が強くて飽きてしまった。
その為、凄い映画であることには違いないが、あんまり面白くないという印象が強く残ってモヤモヤする。
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