Mikiyoshi1986

闇のバイブル 聖少女の詩のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)
3.6
ゴシック・ロリータ映画の最高峰(?)と云われてるらしい本作。
少なからず1969年当時のチェコスロバキアにはゴスロリの礎となるアイコンがあったんですね。

中世の荘厳な面影を遺す美しき東欧の国チェコ。
チェコのアートシーンってそれこそシュヴァンクマイエルだったりソーデックだったりと妖しいカルト的なイメージが強くて、
その背景にはハプスブルグ家が持ち込んだ濃厚なヨーロッパ文化と、その後のロシア文化とが多様に入り乱れた歴史的要因も関係するのかなぁと思いました。

初潮を迎えた少女ヴァレリエの性への芽生え。襲いかかる不安と誘惑。
その思春期独特の揺らぎの中で、我々は白昼夢の迷宮世界へと誘われます。
汚れなき処女性が持つ崇高な純潔さ。そしてそこに秘めたる淫靡なエロティシズム。

白とエメラルドを基調とした淡い光彩が美しく、そこに絡む魔術的な漆黒がよりミステリアスさを浮かび上がらせます。

冒頭でさっそく衣装のミスが気になったり、「手枷の意味…」と二回くらいつっこんだり、どこか抜けてる部分も多々ありましたが、
その荒さを度外視すれば美術衣装から装飾小道具に至るまで、徹底したゴシックの幽玄世界に感嘆。
脚本もシュルレアリズムの文体を可視化するような趣があります。

火炙り刑の時のヴァレリエは超絶可愛くてクッソ萌えた。

イタチとは、そして花を売る少女は一体何の暗喩だったのか(イタチにスルーされてるし)大変気になるところです。
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