猫とフェレットと暮らす人

バットマンの猫とフェレットと暮らす人のレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
4.0
バットマンを見直すにはやっぱり、近代の実写映画シリーズ第1弾(1943年,1949年,1966年の初期シリーズ版もあるがさすがに古すぎて省きました)、ティム・バートン監督版からだよね。

タイトルが出てくる冒頭から重厚なテーマ曲、気分アガりますし、思い出すたびに頭の中で流れます。

ゴッサムシティの表現もすごくいい。何がいいかって、この映画は1989年公開だから、今の2022年からだと33年前。
ゴッサムシティの街並みの特に奥行きや背景などは、「マットペイント」というガラスに描いた絵画を合成するというアナログの技法。最近のCG技術とは違った芸術的な描き方なので、とっても魅力的なんです。

技法と言えば、バットマンが乗るバットモービルの盗難防止の為の装甲に変形する表現も手書きアニメーションとの合成。
このアナログ感が今見るとすごくいいんです。

今観るとセットやアクションはやはりチープ感があるし、ちょっと、コントかな?的な安っぽさも感じられますが、当時ではやっぱり凄かったわけで、今ではその具合が、可愛らしく感じるからいいんです。

凄いのは、第62回アカデミー賞美術賞を受賞してますしね。バットモービルなんて、塗装する塗料をわざわざ日本から取り寄せてるし。見る角度によって紫がかってたり、真っ黒だったりに見える塗料が日本の塗料だったからだって。
乗り降りする時の撮影中に塗装剥がれるのが大変すぎたので、ヴィッキー・ベール(キム・ベイシンガー)が乗り降りする時は、塗装剥がれないように靴を脱がされたらしい。

登場人物としては、まずは、ジョーカー(ジャック・ニコルソン)がキレキレのイカれ具合。
美術館のシーンもパレードのシーンも面白いですよね。
当時のジャック・ニコルソンはすでにアカデミー賞を2回も受賞しているという超大物俳優だけど、低予算で作られた本作でも思いっきり弾けてていい。怪演とはまさにこの事ですね。ジャック・ニコルソンがいたから大ヒットと言っても過言ではないですかね。

でも、やっぱり、主役のブルース・ウェイン / バットマン(マイケル・キートン)がいい。てか、マイケル・キートンがいいんです。
観ている私がバットマンを見直そうと思ったのも、マイケル・キートンがマクドナルドの創業者レイ・クロックを主演している『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観て、演技凄すぎ!と思ったからでして。
この人を追いかけてみようと調べたら、初代バットマンでした。って事なんです。

この作品での演技も凄かったのですが、特に印象的なシーンは、女性カメラマンのヴィッキー・ベール(キム・ベイシンガー)の家に行って自分ブルース・ウェイン(マイケル・キートン)がバットマンである事を伝えようとしたシーン。

1:20:14あたりのシーンで、頭を抱えてから、口元を手でそっと拭うんです。これ見たとき、うぁ、やっとんなぁ。凄いわ。って思いました。
この瞬間以前から、正体を伝えようとして、躊躇しながらって演技してるんですが、この手の動きだけでも、躊躇してる、微妙な感じが表現されてて凄いと感じました。
細かい事だし、やり過ぎ感もあるかもですけど、これは、一連の流れで自然に表現されてるのでほんと凄いです。

あと、小柄なマイケル・キートンがブルース・ウェインを演じてるからこそ、バットマンのマッチョなスーツを着たときの強くなるという対比があって、でも、ブルース・ウェインは特殊能力(宇宙人的でもなく蜘蛛に刺されたのでもなく)があるのではなく、あくまでも普通の人間(富豪だが)。
監督のティム・バートンが惚れこんでマイケル・キートンにオファーしたのがこの対比を表すためであって、大成功だったね。

ストーリーは王道だし、何年たっても楽しく観れます。

というわけで、名作バットマンは続編もあるし、他の監督にバトンタッチしたのもあるし、ジャック・ニコルソンもマイケル・キートンも沢山の映画に出演してて、観たいのがいっぱいあるので、追いかけていこうと思っています。

てか、2022年公開予定の『バットガール』、2023年生公開予定『ザ・フラッシュ』でもブルース・ウェイン / バットマンでマイケル・キートンが演技するんですけど、凄くないですか?

マイケル・キートンが初代にして現代最新のバットマンです。