Automne

イノセンスのAutomneのレビュー・感想・評価

イノセンス(2004年製作の映画)
4.0
文芸坐オールナイト最後の1作品。
ニコチン混じりのヒレ酒でふわふわとしたまま浮き足立って文芸坐に行きましたら、早い段階で入れたことによる最前列という僥倖。押井守監督が、アニメーションの美について、「佇まいの色っぽさ。女もオヤジも。」という風に言われていまして、その他にも「筆先の限界を超える」だとか「魂すり減らすくらいやっちゃう」だとか言葉の端々に堂々とした風格を感じました。
イノセンスは前作と比べて予算が良くやりたいこと全部詰め込んだとおっしゃっておられましたが、察する通りのカロリーの高さ、ひとつひとつの台詞がすべて聖書や哲学書の引用、メタファーに次ぐメタファー、映像も当時は最新鋭だったようで、手書きの部分に関しては文句なし。
CGは手書きと違って当時の最新の設備というだけでそれ以上ブラッシュアップできないと言われた通り、CGのところだけはあからさまに古っぽい感じが漂っていましたのが少しだけ残念でした。
純粋な乙女が操られて機械を動かしている、日本人形的な義体の麗しくも気持ち悪い感じというのは、パプリカを観た時と共通するものがあって、ああこのSFアニメの流れは脈々と伝承されゆくものなのだなと思いました。
アキラ、ゴーストインザシェル、エヴァ、パーフェクトブルー、など80年代後半から90年代、0年代にかけてのアニメ映画は非常に熱いです。魂が通っています。
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