クシーくん

恐怖の雪男のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

恐怖の雪男(1957年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ハマー製雪山ホラー。ヒマラヤ山脈に生息するという雪男伝説に取り憑かれたピーター・カッシング演じる学者先生が、金目当てのハンターらと共に雪男狩りに赴くが…というお話。

恐怖のイエティが愚かな人間達を次々と仕留めていくモンスターパニック物かと思いきや、文明社会って愚かだよね。高貴な野蛮人にこそ本質的な美徳と知性があるよね…という、当時は斬新かもしれないが、今日では使い古されたパターンである。
ヒマラヤの奥地では人間とは異なる進化を遂げた知的人類が脈々と命を繋いでいた!というとまるで水木しげるの短編漫画のような話でもある(実際ありそう)。
ただ、人間達が自らのエゴイズムに陥り、暗くて寒い、閉ざされた大自然の箱庭で徐々に狂気に陥っていくという心理的な恐怖を描いたプロットは少々古典的ながら、なかなか良くできていた。

しかし、モンスター映画を期待して劇場にやって来た観客は、肝心の雪男が全く現れないまま、おっさん達が次々と自分達のやらかしで命を落としていく展開にさぞかしがっかりしたのではないか。
雪男映画に文明批判はあっても良いが、せめてじっくり雪男を見せて欲しい物である。
ハマー映画を何本か見て分かった事だが、どうも肝心のモンスターをやたらと出し惜しみする。それは良いが、最後でもチョロッとしか見せないというのは良くないと思います。

雪山のロケは勿論ヒマラヤ山脈…ではなく、フランス・ピレネー山脈で撮影したとの事。主要キャストは誰もロケに連れて来られず、ほぼスタントダブルを使った撮影。撮影された雪山ロケの大半はケーブルカーで上がれる天文台のすぐ近くで行われたとのこと。そう聞くと味気なく感じるが、まあそんなもんだよな。でもセットもセットなりに迫力があって、
雪山の危険な感じがとても良く出ていて、この点に関しては好印象。最後の大雪崩も見応えあり。

あとどうでもいいけど、登山とか全く興味ない素人目でも分かるくらい皆軽装備過ぎてちょっと笑っちゃった。
特に奥さん最後の格好、そんなジーパンみたいなんで大吹雪のヒマラヤにいたら夫より先に死ぬんでないかい?
クシーくん

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