ヘソの曲り角

クイック&デッドのヘソの曲り角のレビュー・感想・評価

クイック&デッド(1995年製作の映画)
3.0
コンセプトは面白いのになんか惜しいな…

主演シャロンストーンが製作にも参加してる西部劇で、共演はラッセルクロウ、ディカプリオ、ジーンハックマン、監督サム・ライミ、音楽アラン・シルヴェストリと豪華な布陣。

秘密を持つ凄腕女ガンマンが無法者の街で開かれた早撃ちトーナメント(一対一の殺し合い)に参戦する…という風に始まるのだがだんだん女ガンマンのメッキが剥がれて情けない感じになりつつそれでも復讐のために立ち向かう話になっている。当時の女性らしさの表象として「だけど涙が出ちゃう、女の子なんだもん」的な発想が世界的にあったのだろうか。トーナメント一回戦でラッセルクロウからスタートの合図になる時計台の長針が動く音についてチート級のアドバイス無かったらたぶん死んでたという助けられ方もなんだかシャロンストーンの格が落ちるようで何とも。それでもクライマックスの大爆発とともに颯爽と現れ敵討ちを果たすシャロンストーンはかっこよかった。

女性が主人公で脇役の黒人、ラテン系、先住民が超キャラ濃いので見てて楽しいのだがいざトーナメント始まると雑に処理されて悲しい。もっと大規模トーナメントにして最終的にネームドキャラ全員手組んで悪党一味を倒す超王道展開を期待してたのでどんどんキャラが減って「おお…」となってしまった。そのくせ終盤まで生き残ったディカプリオのキャラがほんとにしょうもない。

ラッセルクロウの無法者→牧師になった設定と信じれば救われる的立ち位置、シャロンストーンが人を殺すのをかなり躊躇うのと地獄落ち発言があることからけっこうキリスト教的な作品になっていると思った。

サムライミのド派手演出がマンガみたいで楽しい。風穴が空くエグめの描写もなんだかコミカルに思える。雰囲気はセルジオレオーネ風。とにかく顔に寄る。撃つまでのタメが長い。女1、男3の配置や首吊り回想エピソードなど「ウエスタン」っぽさがそこはかとなくある。クライマックスの大爆発は「荒野の用心棒」っぽいし。