マグロ

西陣のマグロのレビュー・感想・評価

西陣(1961年製作の映画)
3.3
松本俊夫実験映像集1「詩としての映画」より
「美しい着物は必ずしも美しい場所から生まれるのではない」
機織りの一大産地西陣を主役に据えたモキュメンタリー的作品。
美しい西陣織を織る人はボロい場所でTシャツにジーンズのラフな格好である。
そして機物を評価する人は綺麗なスーツ。
生産する人間も流通させる人間も着物を着ない。そんな違和感。
また、終始着物を美しいものとして取り扱うが、その産地である西陣のことはそうは扱わない。雇用待遇の改善や人手不足などの問題を抱えている不安定な街として描いている。
機織りのカタカタという音と前衛音楽、昭和感満載の無機質なナレーションが見事に調和しておらず、聴覚的に奇妙な不安を誘う。
「西陣は感謝をします」みたいなシーンが変な宗教のようで非常に気持ち悪い。
西陣とのタイアップらしいけど、この映画を見た後では西陣や西陣織に対しての何とは無しの悪い印象を持つことになるような気がする。PR的効果はまるで望めない。何十年も前の映画なので今となっては的外れな印象かも知れないが。
マグロ

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