プペ

臨死のプペのレビュー・感想・評価

臨死(2007年製作の映画)
3.0
本作は、原題『The Invisible』が示すように、幽体離脱をするも、誰にも気づかれず「透明人間状態=本当の自分を誰も分かってくれない」、″The 思春期″特有の葛藤を描いた青春映画である。

昨今、GOKU(悟空)として全世界に恥を晒した主人公を演じる″ジャスティン・チャットウィン″。
大猿への変身も納得の毛深さで、鼻持ちならない金持ちエリート高校生を演じる。
自分が母親に従うだけの「透明人間」であることに苛立つ、といっても、裕福なイケメンで尚且つ傲慢という、なんとも感情移入し難いキャラクター設定。

常にニットキャップを被り、アメリカの学園映画史上で屈指のヒール女子を演じる″マルガリータ・レヴィエヴァ″。
学校でも家庭でも、はたまた不良仲間内でも居場所がない「透明人間」。
ジェシカ・アルバの劣化版という印象だったが、キャップを脱ぎ捨て、クラブで踊るシーンからどんどん引き込まれ、自業自得とはいえ、最期はなんと切ない。
大根ゆえに感情を上手く表せない不良ティーン役にハマったということか、私はファンになることに決めた。


大ヒット映画、『ゴースト~ニューヨークの幻』は強盗に殺された男が霊魂となって愛する女性を守る話であったが、本作もそれと似ていなくもない。
ただ違いは邦題にある通り「臨死」で、″本人は死んでいない″という点だ。

『ゴースト~ニューヨークの幻』では、守るべき人は″恋人″であったが、ここでは″自分自身(の体)″。
霊魂という存在はどこにでも行けるが、生きている人間にコンタクトが取れない。
そのもどかしさがポイントとなってくる。
果たして、どうやって自分自身を助けるのか。


清潔感・透明感あふれる映像でギクシャクしたサスペンスが展開する。
決して傑作ではないのだけれど、役者の頑張りもあって記憶に残る良作だ。
プペ

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