矢吹

雨にぬれた舗道の矢吹のレビュー・感想・評価

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)
3.9
これはこれは、生涯忘れられない女だな。
こんな終わり方、アリです。

本当にしっとりと男と女の攻守が入れ替わる。
極上のレスリング。
どっちも応援できる流れ。
両方負けろとも思える。
名勝負。
無言の青年とおしゃべりな淑女。
言葉の存在しない時間の蓄積。
語らずに埋める空白と、言葉を並べるだけの沈黙
ついに語られる告白。

何でも拾って持って帰るのはやめましょう。
タダより高いものはありません。
追い込まれた人間の行先。
自分で自分を追い込んでもあるけど、
孤独な女性の孤独。
人間がよく描かれたタイプの話。
デュエルマンとかもそうっすよね。
壮大な歴史じゃなくても、1人の人間の心を徹底的に掘り尽くす。とある深み。

確かにね、女性が不憫で可哀想で愚かで情けなくて、どんどん男がよくわかんねえことになる時間が、めっちゃよかったんだなあ。
目隠しのシーンなんて特にだけど、
残酷すぎて、笑ってしまう部分と、ドン引きしてしまう部分の表裏一体気味たるや。
彼女のアップから、カメラを引いていって、案の定な、全貌が明らかになるシーンが、えげつない。
その悲しみ、怒り、悔しさをもってして、人間ってそこまで行くのか、そんなに行けるのかよって思うのは、俺がまだ、女心をわかってないからなのだ。悔しいっす。
2人の中に、彼女が飛び込んできた時は、瞬間は、なんと、わろてしまいました。
即座に、せすぴん

親切と、恋と、愛と、性欲と、執着との移り変わり。
グラデーションが見事すぎるわけですよ。
もちろん、最初から全てが含まれている。
それはやはり、配合の問題だから。

ちなみに、雨の中にて傘をささずにまつ男の全ての事柄は、女を待ってたで、説明がつきますね。どっちでもね。
矢吹

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