路線バスの終着点、“上終”(かみはて)。
そこで降りた乗客は、断崖での投身前に、
不愛想なオバちゃんのいる暗い店で、
コッペパンと牛乳のセット(180円)
を買っていく。
そんな人間を何度も見送って(?)きた
店主・千代は、その都度断崖へ行き、
残された靴と遺書を拾って帰る。
彼女の父親もまた、幼少時に
その現場で自殺していたのだった…。
…暗い。
とにかく終始、薄暗い。間が長い。
疲れ切った哀愁が漂う。
なのに、全く苦にならないどころか、
「この世界に暫く浸っていたい…」
とさえ思った。
癒しにも似た、不思議な感覚でした。
学校の音楽室から聞こえてきそうな
アコースティックサウンドも、最初は
違和感を覚えてますが、そのうち
癖になってきます。(笑)
―――高橋“俺の”惠子。
この私が直々に授けたミドルネームを
冠する事の許された、世界でたった
4人しか存在しない人間の中のひとり。
この、“疲れた初老の女”感…。
魅了されると言っては変かも
知れないけど、そうなのだから
仕方が無い。
一日中コタツに潜ってダラダラ
してる姿もステキ♪(笑)
くっそぉ~…俺も惠子に
押し倒されたいッ!!♪
この「終」という一文字が、私自身
幼少の頃、とても恐怖でした。
「終」=「死」という認識が
強かったのです。
前半に出て来た、珍スポ狙いの
チャラい冷やかし姉ちゃん達も、
「上終?名前からしてキモイわ~w」
と言ってましたが、間違いでも無く、
寂寥とした寒さを覚える響きだと
私も感じます。
そんな私の深層意識に、
色んな方面からアクセスしてきた
作品でした。☆