超空間コベ

カミハテ商店の超空間コベのレビュー・感想・評価

カミハテ商店(2012年製作の映画)
4.0
路線バスの終着点、“上終”(かみはて)。
そこで降りた乗客は、断崖での投身前に、
不愛想なオバちゃんのいる暗い店で、
コッペパンと牛乳のセット(180円)
を買っていく。

そんな人間を何度も見送って(?)きた
店主・千代は、その都度断崖へ行き、
残された靴と遺書を拾って帰る。

彼女の父親もまた、幼少時に
その現場で自殺していたのだった…。


…暗い。
とにかく終始、薄暗い。間が長い。
疲れ切った哀愁が漂う。

なのに、全く苦にならないどころか、
「この世界に暫く浸っていたい…」
とさえ思った。
癒しにも似た、不思議な感覚でした。

学校の音楽室から聞こえてきそうな
アコースティックサウンドも、最初は
違和感を覚えてますが、そのうち
癖になってきます。(笑)


―――高橋“俺の”惠子。
この私が直々に授けたミドルネームを
冠する事の許された、世界でたった
4人しか存在しない人間の中のひとり。

この、“疲れた初老の女”感…。
魅了されると言っては変かも
知れないけど、そうなのだから
仕方が無い。

一日中コタツに潜ってダラダラ
してる姿もステキ♪(笑)
くっそぉ~…俺も惠子に
押し倒されたいッ!!♪


この「終」という一文字が、私自身
幼少の頃、とても恐怖でした。
「終」=「死」という認識が
強かったのです。

前半に出て来た、珍スポ狙いの
チャラい冷やかし姉ちゃん達も、
「上終?名前からしてキモイわ~w」

と言ってましたが、間違いでも無く、
寂寥とした寒さを覚える響きだと
私も感じます。

そんな私の深層意識に、
色んな方面からアクセスしてきた
作品でした。☆
超空間コベ

超空間コベ