南

ザ・マスターの南のレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.0
今作も擬似親子、擬似家族をテーマの1つにした作品。ロールシャッハテスト画をはじめシンメトリーな構図が随所に出てきたり、テーマ性も含めてウェス・アンダーソンに近いものを感じる。

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の主人公もそうだったけど、主人公クエルが何故イラつき、暴れまわるのか明確な動機は示されない。出征によるPTSDに還元してもいいものかどうか。

ならず者の自分を受け入れ、魂をクエル(鎮圧、抑制)してくれる支配者=マスター=父親/家族を探してクエルは漂流する。
最終的には自分が自分のマスターになれたように描いているので一応のハッピーエンドとして観てもいいのだろうか。

謎の提示だけして答えを示さない会話シーンが何度もあったり、ストーリー通して意味深長に見える。これはほんとに深いテーマ性に基づいてそうしてるのか、PTA自身のパーソナルな話を演出で意味深長そうに見せているだけなのかどっちなんだろう。

疑問がいくつもわいてくる(褒め言葉)映画だった。
南