開明獣

カルテット!人生のオペラハウスの開明獣のレビュー・感想・評価

5.0
初めて観たオペラは、ヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」だった。日本でもCMなんかに良く使われる「乾杯のうた」が本作のオープニング・チューンで、最初から心躍る😊

クラッシックを聴き始めたのは、30半ば過ぎてから。決してコアにどっぷりじゃないけれど、時にダイナミックに、時にしんみりと心の糧になってくれている😌

音楽家のための養老院に、かつてのオペラスターが集い、養老院運営のための四重唱を企画するというお話しなんだけど、みなさん、過去に諸所あって、すったもんだのてんやわんやの、でも最終的にはやっぱり音楽の力は偉大なり、という帰結は悪くない予定調和で安心して観てられた。

カルテットとは、最初は弦楽四重奏のことかと思いきや、そうではなくて、アルト、ソプラノ、バリトン、テノールの声楽のカルテットの方だった。最後の演奏会の描写は議論あるところだが、あれで良かったと思う。

英国の老名優が集結しただけでなく、他にも実際のレジェンド的な名奏者が何人も出演しているのが嬉しい。イギリスにはロンドンだけでも、著名オケが多くあるほか、週末の土日などはモールなどでもごく日常的にミニコンサートが行われるクラッシックが日々の生活に馴染んでいるお国柄。

オペラハウスも、英語で演じるナショナル・オペラハウスと、原語で演じられる劇場があって、チケットも日本より遥かに安く観劇出来る。そして、夏の風物詩、プロムスでは何日にも渡って、ロンドンばかりでなく各地で演奏会が開かれ、長い夏の夜の締めくくりは野外コンサートで、ホルストのジュピターが演奏されて幕を閉じるのが通例。 

英国の気品ある伝統が醸し出す、あの雰囲気にもう一度浸りたくなった。
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