OASIS

ホビット 竜に奪われた王国のOASISのレビュー・感想・評価

4.2
「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚である「ホビット」シリーズ第二弾。

3D字幕HFR版。
相変わらず気持ち悪いくらいにとにかく滑らかにキャラクターが動く。
目の前で実際に動いているかのような実在感がたまらなく、より世界観に入り込める。
アクションシーンも、一つ一つの動きを堪能できる程はっきりとしていて、ピントが常に合っていてカメラブレ等も起こらないしゴチャゴチャした動きが多くても目が疲れない。

今回から加わったオーランド・ブルーム演じるレゴラスだが、格好良すぎる初登場を筆頭に、アクションシーンの大部分が彼の見せ場で出来ている。
特に樽に乗って川下りという一連のシークエンスは楽しすぎて、その部分だけでも何度もリピートしたい程の出来の良さ。
そこだけでもかなりの活躍を見せるレゴラスなのに、最後にダメ押しとばかりにオークとの一騎打ちまで用意して若干ファンサービス過多気味かなとも思ったが。
ファン向けと言えば、小ネタも多くて特にギムリが息子だった下りには笑った。

一作目で既にキャラ付けが出来ているから、ドワーフ達とビルボの関係性もいまさら描く必要は無いのは良い。
その分トーリンの王としての資質がより強く目立ってきたり、キーリがエルフのタウリエルと良い感じになったりするが、彼ら主役級ドワーフの扱いに比べてその他のキャラは存在感がどうしても薄くなってしまうのは気になった。
仲間に認められたはずのビルボがこの映画で一番活躍しているのだけど、彼のおかげで扉を見つけられたにも関わらず、皆の反応がドライ過ぎるのも可哀想に思えてしまった。

注目の強敵であるスマウグは、モーション・キャプチャーや声優も務めるベネディクト・カンバーバッチの好演もあってかなりの存在感。
一作目のゴラムとビルボの洞窟内でのやりとりを彷彿とさせる駆け引きもあって目の前までせまる竜の迫力は凄いが、前回同様やはり会話シーンの長さを感じてしまった。
吐く炎の凄まじさに比べて全くドワーフ達に当たらないという点で手加減してる感は否めず、楽しげに戦っているので強敵に苦戦している風にも見えない。
そして何より、ぶつ切り感の強すぎるラスト。これには否定寄り。
LOTRの二作目ですら、一応の決着はついて次の旅へと向かうというキリが良い所で終わっていたはずだが、こちらは全ての要素が次回に持ち越され、気になり過ぎてモヤモヤする気持ちのほうが強い。
あんな終わり方されたら次回も観ずにはいられないだろうに。
ピーター・ジャクソン、やってくれたな・・・。

ガンダルフは本当に一人で行動するのがお好きなようで捕まったままだし、ビルボは指輪の魔力に魅了されはじめ、おまけにサウロンの影まで見える。
壮大な戦が始まりそうな最終章がどんな終わりを迎えるのか見届けたい。

より中つ国の世界に入り込む為には、HFR版を全力でオススメ。
上映時間2時間40分とやっぱり長めですが、それほど長さは感じずむしろ前作より楽しめました。
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